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オプション取引とは




輸出入業者などによる通貨オプションの利用方法と通貨オプションによる外国為替市場への影響などについてです。

輸出入業者による通貨オプションの利用方法について
例えば本邦輸出業者が商品を米国へ輸出した場合、商品代金はドルで受け取りますが、仮に代金受取期日までにドル安円高になると、ドルを円に交換した際に受取る円が減ります。そこで、本邦輸出業者はドル売り円買いの為替予約を行い為替変動リスクを回避します。

為替予約とは、輸出代金として受取期日に円転するドルを1ドル何円で銀行へ売るかという約束を本日行う取引のことを言います。こうしておけば受取期日にたとえドル安になっても約束した為替レートで銀行へドルを売ることができ為替変動リスクをヘッジしたことになります。
しかし、この為替予約の方法ではその後の相場推移でドル高になった場合には、為替予約をしない方が利益となるケースが発生する可能性があります。そこで通貨オプションを利用する方法が考えられました。手法としてはプレーンバニラオプション、ゼロコストオプション、ノックアウトオプションなどがあります。

1. プレーンバニラオプション
プレーンバニラオプションとは、単純なコールオプション、プットオプションのことを言います。
本邦輸出業者の場合は、将来のドル安に備えドルプットを銀行から買うことで為替変動リスクを回避します。ドルプットの売り手である銀行はインターバンクのオプション市場を利用、つまり同一条件のドルプットを他の銀行から買うことによりリスクヘッジします。同一条件のオプションが存在しない場合は原市場である為替スポット取引でデルタヘッジを行うことになります。

権利行使を受ける確率であるデルタ分だけ銀行はドル売りヘッジを行うことになり、例えば、デルタ=0.3だと100万ドル分のドルプットを売った場合はヘッジとして30万のドル売りを行う必要があることになります。 ドルプットの売り手である銀行はガンマショートの状態であり、デルタヘッジは為替レートが不利な方向に動くごとに、ドルが下落するに連れてヘッジを行う必要があります。 このヘッジオペレーションは為替レート変動を加速させるような為替需給となるため、 ポジティブフィードバックが掛かりやすく為替レートをオーバーシュートしやすくする とも表現できます。

2.ゼロコストオプション
為替ヘッジの方法としてゼロコストオプションが考えられた背景としては、ヘッジコストとしてプレミアムを支払いたくない輸出入業者が多い現状が挙げられます。プレーンバニラオプションを使い為替ヘッジを行う輸出入業者にとってはオプション料を支払うことになるためです。

本邦輸出業者によるゼロコストオプション利用の場合は、本邦輸出業者が銀行からドルコールを売ると同時にドルプットを買う取引を行うことで可能となります。両者のプレミアムがちょうど等しくなるようなドルコールの行使価格とドルプットの行使価格を見つけだし、これらの行使価格をレンジの上限と下限に設定することになります。ドルコールを売ることによる受取プレミアムとドルプットを買うことによる支払いプレミアムが等しいため、本邦輸出業者は支払うプレミアムがゼロとなりコストゼロで、代金受取期日までにドル安円高になった場合の為替ヘッジができることになります。
但し、ゼロコストオプ ションでは、一定の為替レンジ内ではヘッジ効果がない点と逆に大きくドル高に振れた場合は ヘッジ損失が発生する点は注意が必要です。

次に銀行サイドによるリスクヘッジのためのカバー取引を考えてみます。銀行はドルコール買いと同時にドルプット売りのポジションを持つことになります。同一条件のオプションを他の銀行から調達することでリスクヘッジすることも可能ですが、同一条件のオプションが存在しない場合は原市場である為替スポット取引でデルタヘッジを行うことになります。ゼロコストオプションのケースでは、ポジションを保持した当初のデルタヘッジ量はプレーンバニラオプションと比較して大きくなりますが、銀行はガンマニュートラルに近い状態なので、一旦デルタヘッジを掛けた後は為替レートが不利な方向に動くごとに行うデルタヘッジ少なくて済みます。ポジションを保有した当初のヘッジオペレーションは為替レート変動を加速させるような為替需給となりますが、その後オプション満期日までは為替レートを動かす為替需給とはなりません。

3. ノックアウトオプション
ノックアウトオプションとは通常のオプションにノックアウト条項を付け加えたオプションです。
通常のプレーンバニラオプションを使用した場合の為替ヘッジとの違いは、ノックアウトオプションにはオプション消滅事項が付いている点です。この点は輸出入業者がノックアウトオプションを利用し為替ヘッジを行う場合不利な点です。なぜなら、せっかくプレミアムを支払ってオプションを購入し為替リスクをヘッジしたつもりでも、オプション期間中に為替レートがノックアウトプライスに1回でもタッチするとオプションが消滅しまい、ヘッジ効果も消滅します。しかし、オプション消滅という不利な条項が付いている分ノックアウトオプションは通常のオプションに比べてプレミアムが安く、為替ヘッジとして輸出入業者のニーズは高いと言えます。

例えば本邦輸出業者によるノックアウトオプション利用の場合、ノックアウトプライスは現在より円安レベルで設定されているため、仮にノックアウトオプションが消滅しても、その時点が円安であることから、その時点でドル売り予約を入れれば採算がとれる円安の水準で為替予約がとれることとなります。従ってノックアウトオプションを用いても為替リスクは完全にヘッジしたことになります。

次に銀行サイドによるリスクヘッジのためのカバー取引を考えてみます。同一条件のノックアウトオプションを他の銀行から調達することでリスクヘッジすることも可能ですが、同一条件のノックアウトオプションが存在しない場合はやはり原市場である為替スポット取引でデルタヘッジを行うことになります。しかし、バリアーオプションの一種であるノックアウトオプションは通常のオプションと比べてかなりヘッジしにくい商品です。為替レートがバリアー(ノックアウトプライス)に到達したら、オプションは消滅します。バリアーにヒットしなければ、オプションはかなりの価値をもつことになるかもしれません。このような場合、デルタはバリアー付近で不連続になるため、デルタヘッジが困難になります。

ノックアウトオプションを売っている銀行がノックアウトプライスに為替レートが近づくとオプションを消滅させるために、為替レート変動を加速させるようなスポット取引を行ってそのレートを超えさせようとするとか、逆にノックアウトプライスを超えさせないために防戦売り(買い)を行っているなどの噂がよく聞かれます。
しかし、本当はノックアウトオプションの売り手である銀行サイドのバリアー付近での不連続なデルタヘッジが原因かもしれません。

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